カナダの野鳥15種類!有名でシンボル的存在と国鳥はカナダジェイ?
自然豊かで野鳥もたくさん生息するのに、意外にもまだ『国鳥』がハッキリ決まっていないカナダ。(2021年5月現在)
ただ、カナダ国民の認識で『国鳥』と言われている鳥が「カナダカケス」という鳥です。
「『国鳥』を正式に議会で決定しよう!」
と、カナダの建国150周年の2017年7月1日に合わせて“国鳥プロジェクト“が立ち上がり、
国民投票を実施して頂点に立ったのが
Canada Jay
=(Gray Jay)(和名:カナダカケス)
というカケスの仲間の鳥です。
じつはCanada Jay、カナダの国鳥にふさわしいポテンシャルを秘めた鳥なんですよ!
カナダを象徴する鳥・カナダ国民が選んだベスト5
『国鳥』といえば、日本はキジ、アメリカはハクトウワシなど、
世界の多くの国々は、国を象徴する鳥を国鳥(national bird)として定めています。
『国鳥』は、
- 国家機関が選定する場合
- 鳥類学術機関が選定する場合
- 特に選定されず歴史的に広く国民に認知されている場合
など、様々な例があって、国によって決め方や、国民の認知度にも差があるようです。
実際私は、恥ずかしながら日本の国鳥は「キジ」じゃなくて「鶴」だと思い込んでました(笑)
カナダにはおよそ450種類以上もの野鳥が生息していますが、
意外にも、国鳥として正式に指定された鳥はまだ存在しません。
2017年のカナダ建国150周年に合わせて、カナダの公式鳥(National Bird)を宣言することを目的として、
熱心なカナダ研究者や愛好家が、「王立カナダ地理学協会」と一緒になって
「National Bird Project」が立ち上げられたのは2015年。
5万人以上ものカナダ国民が2年の歳月をかけて「国鳥コンテスト」で投票し
『カナダ国民が選んだカナダを象徴する鳥ベスト5』がこちら
nationalbird.canadiangeographic.ca/
表の上から
- Gray jay(グレイジェイ)
- Common loon(コモンルーン)…オンタリオ州鳥
- Snowy owl (シロフクロウ)…ケベック州鳥
- Canada goose(カナダグース)
- Black-capped chickadee(アメリカコガラ)…ニューブランズウィック州鳥
この5つの鳥のうち、あなたが知っている鳥はありましたか?
ちなみに、グレイジェイとカナダグース以外は、この後紹介する州の鳥として既に登録されている鳥です。
カナダグースはバンクーバーでいちばん見かける鳥
カナダといえば、「Canada goose」というイメージもあると思います。
goose=ガチョウのことで、「カナダ」と名前が付くくらい、
カナダグースはカナダ全土~アメリカ合衆国北部に広く生息しています。
私は先ほどの5つの鳥の中でカナダグースしか知りませんでしたが、
バンクーバーでは、スタンレーパークやイングリッシュベイに行けばいつでもお目にかかる鳥ですよね!
春先には10匹くらいの子供のカナダグースと、親鳥が歩く可愛い姿も見かけます
翼幅:127–185cm
和名:カナダガン・カナダガモ
カナダグースは、顔に白いラインが入っていて、頭と首が黒く、体が茶色の羽で覆われた雁(ガン)。
雁(ガン)やガチョウの中でも大型で、近くでみると結構迫力あるんですよ。
国鳥コンテストの頂点はCanadaJay!
2016年11月、建国150周年に合わせて、最終的に「国鳥コンテスト」で選ばれたのが
『Canada Jay(カナダジェイ)』(Gray Jay)
です!
重さ: 70 g
翼幅: 40-45 cm
和名:カナダカケス
Jayは「カケス」という、日本の里山で広くみられるカケスの仲間。
Jayは、ジェージェーという鳴き声からついたもので、可愛い外見と美しい羽からは想像できない、しゃがれ声。
現在はすでに、名前がぱっとしない“gray jay”から、昔からの愛称“Canada jay”に統一されつつあるんだとか。
グレイジェイはカケスの中でも中くらいの大きさで、丸い頭に短い脚が可愛らしく、全体的に暗い灰色をしています。
カナダを象徴する鳥にCanadaJayが選ばれた理由4つ
450種類もの野鳥がいるカナダで、どうしてCanadaJay(GrayJay)が選ばれたのか?
その理由は4つあります。
理由1)ほぼカナダだけに生息している鳥・グレイジェイ
長年、200年以上も前から先住民の間で「カナダジェイ」と言われて親しまれてきたグレイジェイ。
グレイジェイはカナダ13の州全てに生息しているものの、まだどこの州も「州鳥」と決めていませんでした。
そして、カナダとアメリカ以外の国で存在が確認されたことが無く、生息範囲はほぼカナダ全域に生息しています。
▼カナダジェイの生息範囲
https://www.canadiangeographic.ca/article/meet-our-national-bird-gray-jay
理由2)小さくても寒さに強い!カナダに1年中いるグレイジェイ
グレイジェイは、小さくても寒さに強いタフな鳥。
他の多くの鳥(カナダグースやアビ)は、渡り鳥となって冬は南に渡り、1年の半分はカナダを留守にしています。
いっぽうグレイジェイは、カナダから離れることなく一年中いる鳥。
驚くほど寒さに強く、2月頃には巣をつくり、なんと吹雪や-30℃の寒さの中でも、卵を孵化させることができるのです。
あんな小さな体なのに、ちょっと信じられませんよね。
今のところ絶滅の危機も無く、凍りつくように寒い冬に強いタフなカナダジェイは、カナダ国民の特性とピッタリ♪
理由3)ウイスキージャックの神話があるから
Gray jay” は、昔から“whiskey jack”(ウイスキージャック)という異名でも知られています。
これは、カナダの先住民の民話の中に出てくる“wisakedjak”(ウイスキージャック)という、
カナダ先住民の猟師や異国から来た冒険家にくっついて回っていた鳥の名前。
“wisakedjak”は森の使者として、道に迷った彼らを、カナダカケスの姿に変え、
道案内をしながら助けてあげるという先住民の言い伝えがあります。
現在もグレイジェイは、森にある製材所や研究所に気軽にやってきて、人間を怖がることなく、
そこで働いている人たちや、スキーヤーにくっついてきます。
理由4)グレイジェイは賢くてフレンドリー
カナダで有名な野生動物を描く芸術家、ロバート・ベイトマン(Robert Bateman)や、
先住民族の伝承を伝えるマーク・ナジワン(Mark Nadjiwan)が描く絵にも、被写体としてしばしば登場しているグレイジェイ。
グレイジェイは世界で最も賢い鳥の一つとされていて、体と脳の重さの比率は人間と同等です。
雪が深い場所でも、ちゃんと自分達の食べ物の貯蔵場所を覚えていて、
人間を怖がらずに、肩や腕にとまって食べ物をねだったりする姿は、愛嬌があって、人なつっこく元気いっぱいです。
州・準州の象徴の鳥たち13種類
カナダは、10の州(province)と3つの準州(territory)で構成されています。
カナダは国全体のシンボルの鳥は最終決定されていませんが、各州には公式の
象徴鳥:official bird
がいます。
これらの鳥は、州の旗のデザインや、各州内の学校、チーム、企業のマスコットとして広く使われています。
さっそく、それぞれの象徴鳥13種類について紹介しましょう
アルバータ州の象徴:アメリカワシミミズク/ Great Horned Owl
[photo]Great Horned Owl, Manitoba, Canada,2010,Curtisbouvier
寿命:13-15年
大きさ:55cm
翼幅:130cm
和名:アメリカワシミミズク
Great Horned Owlは名前の通り“大きい角のふくろう“で、Flying Tigerという別名のように、虎のような柄。
北米で最も広く見られるフクロウの一種です。
ブリティッシュコロンビア州の象徴:ステラ―カケス/Steller’s Jay
大きさ:27-30cm
翼幅:40cm
和名:ステラ―カケス
バンクーバーのブリティッシュコロンビア州の鳥Steller’s Jayは、
公園やキャンプ場、一般家庭の庭先でも見かけることができる、幸せの青い鳥。
スズメ目カラス科に分類される鳥類の一種で、黒い頭とトサカをもち、ブルーの尾と翼が美しい小型のカケスです。
マニトバ州の象徴:カラフトフクロウ/Great Gray Owl
[photo]Great Grey Owl,2005,jok2000
大きさ:61〜84 cm
翼幅:152 cm
和名:カラフトフクロウ
顔面の迫力がハンパじゃない、世界最大のフクロウGreat Gray Owl。
全体的に灰色をしていて、発達した顔盤を持ち
- 北の怪人Phantom of the North
- シロフクロウcinereous owl
- スペクトルフクロウspectral owl
- ラップランドフクロウLapland owl
- トウヒフクロウspruce owl
- ヒゲフクロウsooty owl
など、沢山の異名があり、北半球全土(北米・ロシア・北欧)に広く分布。
ニューブランズウィック州の象徴:アメリカコガラ/Black-Capped Chickadee
寿命:1.5-2年
サイズ:15cm
翼幅:20cm
スズメ目シジュウカラ科に分類される鳥類の一種。
全長15cm程度、名前の通り黒い帽子(Black-Capped)をかぶったような可愛らしい鳥です。
アメリカ大陸北部に分布していて、広葉樹林に群れで生活しています。
チチチ…という高い独特な鳴き声も簡単に識別できるため、バードウォッチャーにも人気。
ニューファンドランド&ラブラドール州の象徴:ニシツノメドリ/Atlantic Puffin
全長:35-41cm
翼幅:50-60cm
和名:ニシツノメドリ
- 赤・黄・青の線が入った、太くて派手なくちばし
- 目の黒い模様が長いまつ毛のよう
- お腹は白い羽毛で模様がペンギンみたい
キュートな外見に誰もが思わず「可愛い~!」と声をだしてしまうAtlantic Puffin。
ヨーロッパ北部、アイスランド、北アメリカ北東部など広範囲に繁殖する派手な外見の鳥で、
一般には単に『Puffin(パフィン) 』と呼ばれます。
ぱふぃんって名前も可愛でしょ?
ノースウェスト準州の象徴:シロハヤブサ/Gyrfalcon
[photo]Gyr Falcon,2010,Falco_rusticolus
全長:51-55cm
翼幅:115-125cm
和名:シロハヤブサ
ハヤブサ属で最大種のシロハヤブサ。
模様はさまざまあって、真っ白な淡色型や、色が灰色っぽい暗色型、体は黒いうろこ状の斑点があったり、黒い斑点が無いシロハヤブサも。
ユーラシア大陸北部、北アメリカに分布していて、日本では、冬鳥として北海道などに飛来することもあります。
ノバスコシア州の象徴:ミサゴ/Osprey
[photo]Osprey Pandion haliaetus, Morro Bay, California, USA.2006,Mike Baird
全長:54–64cm
翼幅:150–180cm
和名:ミサゴ
「魚鷹(うおたか)」の異名をもつ、魚獲りの名人ミサゴ科のミサゴ。
ほぼ全世界に広く分布していて、日本にも生息しています。
背中と翼のは黒褐色、おなかと顔は白色で、目の周りから首にまで太い黒褐色の線があります。
ヌナブト準州の象徴:ライチョウ/Rock Ptarmigan
[photo]A pair of Rock Ptarmigan,2010,Jan Frode Haugseth
全長:37cm
翼幅:59cm
和名:ライチョウ(雷鳥)
キジ科に分類されるライチョウ。
ユーラシア大陸、北アメリカ、ヨーロッパやアジアの一高山帯に広く分布、日本には新潟、長野、岐阜などに生息しています。
オンタリオ州の象徴:ハシグロアビ/Common Loon
体長:66~91cm
翼幅:127〜147 cm
和名:ハシグロアビ
アビ目アビ科に分類される鳥類の一種、ハシグロアビ。
北アメリカ大陸北部など広く分布し、冬は越冬のため北大西洋に南下、イギリスや日本にも渡り鳥として飛来することがあります。
▼カナダの1ドルコイン
Image of a Canadian 1-dollar coin (Loonie).
Common Loonは、カナダの1ドルコインの絵柄にも描かれていて、カナダではルーンLoonにちなんで
1ドルコイン=「ルーニーLoonie」
という愛称があります
関連記事:
ルーニー(loonie)ペニー(penny)コインの数え方や由来
プリンスエドワードアイランド州の象徴:アオカケス/Blue Jay
寿命:6-8年
サイズ:27cm
翼幅:40cm
スズメ目カラス科カケス属に分類される鳥・カケス。
カナダのオンタリオ州に拠点を置く、メジャーリーグ球団の
『トロント・ブルージェイズ』
にも名前が使われています。
▼台所にあったジップロック!家の中に偶然ブルージェイズを発見(笑)
カケスの英名jayは「ジェイ、ジェイ」と聞こえる鳴き声に由来しています。
細い体のわりに力強く鳴くアオカケスは、大胆で鮮やかなブルーの色彩で、アメリカ・カナダ・メキシコに分布。
適応力が強く、市街地や裏でもよく見かける鳥なので、人間にとても馴染みがある鳥です。
ケベック州の象徴:シロフクロウ/ Snowy Owl
大きさ:50-65cm
翼幅:140-165cm
和名:シロフクロウ
真っ白い羽毛で覆われた大型フクロウ。
足の指までびっしり羽毛が生えていて、短いくちばしも顔の羽毛に埋もれています。
北極圏のツンドラ地帯からユーラシア大陸~北アメリカ大陸まで北半球一帯に生息し、日本でも北海道でまれにみられるそうですよ。
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サスカチュワン州の象徴:ホソオライチョウ/Sharp-Tailed Grouse
[photo]sharp-tailed grouse Photo Credit: Rick Bohn,2016,USFWS Mountain-Prairie
全長:37cm
翼幅:59cm
和名:ホソオライチョウ(細尾雷鳥)
キジ科ライチョウ属に分類される、ホソオライチョウ。
名の通り、鋭く短い尾っぽ(Sharp-Tailed)と、目の上び鮮やかなオレンジと首の紫色が特徴です。
カナダ全土からアメリカの一部の州を中心に広く生息していて、
ネイティブアメリカンの人たちには『Fire bird(火の鳥)』とも呼ばれています。
ユーコン準州の象徴:ワタリガラス/Common Raven
寿命:10-15年
全長:60cm
翼幅:1m
和名:ワタリガラス・オオガラス
ワタリガラスはカラス科の中で、最大で高知能の鳥、日本のカラスとは全く違います。
ユーラシア大陸全域・北米大陸一帯に分布するワタリガラスは、
普通のカラスより体重は2倍以上、くちばしが重く尾が長め、のどにワタリガラス特有のむく毛があります。
カラスは一般的に羽ばたいてから滑空しますが、ワタリガラスは翼を動かさずにすいすい飛ぶことができます。
和名「ワタリガラス」の由来は、渡り鳥として北海道で見られることに由来し、オオガラス(大烏)とも呼ばれます。
カナダの野鳥15種類!有名でシンボル的存在と国鳥はカナダジェイ?まとめ
カナダのシンボル的存在といえば、議会で法律を通して決定された一番有名な動物・ビーバー。
サトウカエデは、ご存知、国旗の真ん中に使われていて、国花であり国樹ですね。
カナダジェイが選ばれた理由は
- カナダ全土に1年中生息している
- 寒さに強くてタフで元気いっぱい
- 先住民の神話に昔から登場
- とても賢いのでエサを貯蔵する
- 人懐っこくてフレンドリー
と、カナダのシンボルにふさわしい特徴があるからです。
「National Bird Project」が2015年に立ち上げられてから5年以上、
いまだ正式な国鳥として決定されないものの、昔からカナダ国民に愛され続けてきたカナダジェイ。
カナダ全土に生息している鳥なので、ぜひあなたも探しにいってみてはいかがでしょうか。