TPPとは何?TPP11との違いをわかりやすく簡単に!メリットデメリットも!
2018年12月30日、TPP11(ティピーピーイレブン)が発効しました!
- 日本主導で5億人の経済圏が誕生!
- あらゆる輸入品が安くなる!
と大盛り上がりで、輸入品のお酒や果物、お肉が安くなれば消費者にとっては嬉しい話題ですが、
今後、日本国内の産業・とくに農業はどうなってしまうんでしょう。
- TPPとは何なのか?参加国は
- TPPとTPP11の違い
- TPPが日本の産業(とくに農業)に与える影響
- TPPで実際に安くなる身の回りのモノ
- TPPのメリットデメリット
など、今さら聞けないTPPとTPP11を、わかりやすく簡単に解説します!
TPP(ティーピーピー)とは
TPPの正式名称は、日本語で
(Trans-Pacific Partnership Agreement 略称: TPP)
と言い、
「TPP(ティーピーピー)」
と短縮形で呼ばれることが多いです。
という『決めごと』のことです。
TPPのポイント
具体的に『仲良くやっていく決めごと』としては
- 加盟国間の「関税」の撤廃
- 国家同士の紛争解決
- 知的財産権の保護(特許・著作権など)
などさまざま。
私たちの生活に身近な例として「関税」があります。
ふつう輸入品には「関税」と言う税金がかかり、その分値段が高く上乗せされています。
関税を撤廃すれば、単純にあらゆる輸入品が安く買えるというメリットがあります。
TPPの参加国は12カ国
TPPは、日本語で「環太平洋パートナーシップ協定」。
「環太平洋」とつくので、太平洋をぐるっとまとめた仲良し国グループという意味
出典:外務省
TPPの参加国は、
の合計12か国でした。
TPP11(ティーピーピーイレブン)とは
なぜTPPの参加は12カ国でした、と過去形になってしまったかというと、
アメリカが2017年1月、12カ国で正式発効目前でTPPから離脱したことで、
な、なんと、、
TPPの内容そのものを、ゼロから見直す必要が生まれたからです( ゚Д゚)!
以降、アメリカが参加していた時の内容と区別するため、
「TPP11(ティーピーピーイレブン)」
と呼ばれるようになったというワケ。
12か国で進めていたTPPからアメリカが抜けたので「11」。
つまり、TPP11は発効済ですが、
TPP自体は、話し合いが座礁に乗り上げたまま、発効されていない状態です。
TPP11の正式名称は
「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」
(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)
略称: CPTPP、通称: TPP11
と、長くてややこしい名前になってしまいました。
TPPあらため、CPTPP(シーピーティーピーピー)…
というわけで
「TPP11(ティーピーピーイレブン)」
の方が、映画『オーシャンズイレブン』みたいにカッコイイので、
こちらで浸透しているようです。
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と、話は脱線しましたが、
実際のニュース報道では「TPP11」のことを、単純に「TPP」と言って区別しなかったり、
交渉時点での名称として
Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement
【日本語訳】環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋戦略的経済連携協定、環太平洋経済協定
など、色んな言い方が大混雑しています。
TPP11はいつから発効?
TPPは2017年1月にアメリカが離脱を表明後、11か国で新協定「TPP11」の発効を目指すことを決定し、
2年かけてようやく、2018年12月30日に正式に発効されました。ホッ。
一時期は安倍さんも
「アメリカが抜けたからもうTPPの意味ないし…」
と弱気でしたが、なんとかうまくまとまった感じでヨカッタです。笑
【巨大な自由貿易圏】TPP11が発行、輸入食品の値下げ期待https://t.co/BmgHwVXJ1Q
30日午前0時に日本やカナダなど米を除く11カ国によるTPPが発効。輸入する食品の関税が下がるため値下げが期待されます。 pic.twitter.com/ogqTIPzRCl
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2018年12月29日
TPPの経緯・いつから始まった?
では、TPPあらためTPP11がどのようにして出来たのか、
時系列でカンタンに経緯を紹介します。
2006年2月・原案は「Pacific-4」
TPPのもとになったのは、2006年2月に発効し
シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド
の4ヶ国による
という小さい協定でした。
2008年2月・アメリカが参加表明
「P4」は先ほどの4カ国でこじんまりと実践されていましたが、
2008年2月、アメリカが交渉の立ち上げ声明を上げたことで大きく状況が変わっていきました。
2008年といえば、世界を揺るがしたリーマン・ショックの真っ最中のころ。
リーマン・ショックから1週間後の2008年9月22日、
P4の原加盟国4か国に、アメリカが最初に追加された交渉国になりました。
2008年9月・オーストラリアが参加検討を発表
2008年9月23日に、オーストラリアが初めて参加の検討を発表。
日本は当時、参加に意欲を見せたものの、結局見送りに。
2010年3月・ペルーが交渉参加を発表
2010年3月14日、ペルー貿易観光大臣が初めて交渉参加を発表。
2010年3月、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4ヶ国を加えて拡大交渉が開始。
この時はオバマ大統領。菅総理はTPPを打ち出すも、東日本大震災の影響で先送りに。
2011年10月・マレーシアが加盟交渉国として加わる
2010年10月、ブルネイで第3回交渉会合が開催され、初めてマレーシアが参加。
アメリカ大統領オバマ氏も、2012年内の最終妥結を目指していました。
2012年11月・カナダとメキシコも正式な加盟交渉国に
2012年12月、ニュージーランドのオークランドで、第15回交渉会合が開催。
この時、カナダとメキシコが初参加。
2013年・最後に日本がTPP参加を再表明
2013年3月、シンガポールで第16回交渉会合が開催。
日本の安倍総理大臣が、TPP交渉参加を表明。
2015年9月・12カ国でTPP大筋合意
2015年10月5日、アメリカ・アトランタで、12カ国によるTPP交渉が大筋合意。
2015年11月5日には、TPP協定の暫定条文が初めて公表されました。
2016年2月・12カ国でTPP協定に署名
2016年2月4日にニュージーランドで、TPP協定が12カ国により署名。
正式な発効まで、あと一歩!!
と
こ
ろ
が
・
・
・
2017年1月20日トランプ政権誕生⇒TPPアメリカ離脱
2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ氏。
じゃ、選挙の公約通りTPPは辞めま~す!Bye!
といって、トランプ氏は就任後すぐにTPPをさっさと離脱してしまいました。
これにより、12ヶ国での協定発効の目処は立たなくなり、TPPは白紙状態に。
2006年の原案から10年以上の歳月をかけて、12カ国の署名まで終わっていたTPP。
オバマさん含む11か国のリーダーたちは
と思ったことでしょう。。。トホホ~
TPP11はアメリカ離脱でも巨大な経済圏
そんなワケで、一時はどうなることかと思われたTPPあらためTPP11。
「アメリカ」という大きな経済力はなくなってしまいましたが、規模は結局どうなったのでしょう?
(TPP11の)参加11ヵ国の約5億人の国内総生産合計(GDP)は、世界経済の13%を占める約10兆米ドル
wikipedia -環太平洋パートナーシップ協定-
国内総生産合計(GDP)は、その国の国民の豊かさをはかる目安となります。
TPPの規模は、アメリカが参加だったらUSMCA(旧NAFTA)を抜いて世界一位になるところでしたが、
それでも世界経済の13%、実にASEAN(東南アジア諸国連合)の4倍、
アメリカ抜きでも、巨大な自由貿易圏が誕生したことになりますね
ウィキペディアによれば、TPP11の参加国のうち、
GDPが総額で5兆4,589億ドルとダントツに高いのは、日本。
2位のカナダの1兆5,109億ドルを大きく引き離しています。
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⇒ NAFTA・ナフタ(USMCA)をわかりやすく!カナダ・日本の影響も!
TPP11は日本とカナダの記念すべきEPA
EPA (Economic Partnership Agreement 経済連携協定 )
とは、TPP11のような貿易協定における条約の総称。
日本は今回のTPP11で、カナダとニュージーランドに対して、初めてEPAを発効ました。
他の国とは既に別の条約で提携していたのに、対カナダ・ニュージーランドは初めてなんて意外ですよね。
つまりTPP11は、日本とカナダが正式に貿易で仲良くなった記念すべき出来事。
カナダのイケメンすぎるトルドー首相もこれからお目見えする機会も多くなるかも~ 笑
今後ますます、日本の高いリーダーシップ力も求められそうです!
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中国・韓国・イギリスはTPP11に入らない?
ちなみにTPP、最終的に太平洋の周りの国々で形成された形となりましたが、
もちろん今まで他の国々も「仲間に入れて~」と興味津々でした。
日本にとってアジア諸国といえば、一番身近な中国や韓国。
しかし結果的に、TPPには韓国も中国も入っていません。
【中国】
関心を示したこともあったけど、結局参加せず。
【韓国】
2013年11月、最初にTPP交渉参加の関心を示す。
2018年4月、TPP11の加入について最終結論を出すと発表されたものの、そのままドロン。
【台湾】
2018年3月、参加の意思を初めて示すものの、2019年に入っても決定されず。
【イギリス】
2018年7月、イギリス政府として初めてTPPの参加意思を表明。
まだ参加したい気持ちはありそうだけど、EU離脱でメイ首相はそれどころじゃないかも?
などなど。
個人的には、身近な中国や韓国も一緒にTPPで仲良くなればいいのにな~と、思いました。
アメリカもいなくなったTPP11。
やっぱり日本とカナダがリーダーシップをとって、TPP11を盛り上げていくしかないですね!
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TPP11のメリット・デメリット
TPP11の最後の加盟国であり、もっともGDPが高い日本。
周りの期待も大きいですが、もちろんメリットだけではありません。
日本にとっての、メリットとデメリットをまとめてみました。
TPP11のメリット
TPPの一番のメリットとしては、海外で日本ブランドの需要の拡大が見込めることです。
TPPの参加によって関税のコスト削減ができれば、より安く日本製品を海外に販売できるようになります。
世界的な日本食ブームも追い風にもなり、質の良い日本の農林水産物の輸出額は増加を続けています。
農産物だけでなく、日本の得意な自動車関連の関税も無くなるため、日本の自動車も海外に輸出しやすくなります。
関税が撤廃されれば、それだけ輸出入が活発になるため、
TPPによって、日本のGDP(国内総生産)が約3.2兆円も増加するという試算があります。
・関税の撤廃で、肉・野菜・果物・乳製品などの輸入食品が安く買える
・日本からも輸出が増え、結果として国内の雇用や収入増加にも繋がる
・人件費が安いマレーシアやベトナムなどに市場に参入できる
・政府の試算では、TPPにより実質GDP3.2兆円増が見込める
TPP11のデメリット
TPPのデメリットで一番懸念されているのは、食品の安全性です。
食品の安全基準は国によって違うため、
日本で認可されていない食品添加物や農薬を使った、安価な輸入品が入ってくる恐れがあります。
日本の産業、とりわけ農業をどう守っていくかというのが、大きなポイントになりそうです。
・海外から安価商品が入ってくることで、デフレを起こす可能性も
・競争力が弱い日本の小規模農家の経営危機を招きかねない
・食品添加物や農薬の規制緩和で、食の安全が脅かされる
TPP11の影響が大きそうな農産物や身近な商品は?
もちろん、農産物(品目)によって関税の削減・撤廃の仕方は細かく決められているので、
すべての食品が同じ影響を受けるわけではありません。
特に日本では
の原料が「重要5品目」として扱われていて、そのまま関税を撤廃しないものものや、
関税率緩和などの措置は、農作物ごとに慎重に細かく決められます。
いちばん値下がりが期待できる身近なものとして、
- 食料品
- 高級ブランド品
- お酒類
などがあげられています。
TPPのなかでも、関税の引き下げ幅が大きい農産物をいくつか紹介します。
農産物 | 現在の関税率 ⇒ 関税引き下げ幅 |
落花生 | 10% ⇒ 0 |
柑橘類(オレンジ) | 6~11月 16% ⇒ 0 12~5月 32% ⇒ 0 |
りんご | 17% ⇒ 0 |
ぶどう | 3~10月 17% ⇒ 0 |
お茶 | 17% ⇒ 0 |
牛肉 | 38.5% ⇒ 9% |
※関税の引き下げ幅は最終的な%。数年かけて段階的に引き下げられるものもあります。
ごく一部を例として挙げただけなので、詳しく知りたい方は農林水産省の資料も見てみてくださいね!
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・カナダ豚肉ブランドの種類!関税撤廃で日本のポーク競争がアツい!
TPPとTPP11の違いをわかりやすく簡単に!メリットデメリットまとめ
TPPの正式名称は
「環太平洋パートナーシップ協定」
(Trans-Pacific Partnership Agreement)
(略称: TPP)
TPP11の正式名称は
「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」
(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)
(略称: CPTPP、通称: TPP11)
ニュース報道では「TPP11」のことを、単純に「TPP」と言って区別しない場合もあるので余計に混乱しますが、
厳密にこの二つは、「アメリカ」が参加国として入る前と離脱後で違いがあり、
2018年12月30日に正式に発効されたのは「TPP11」で日本を含め11か国です。
TPP11のメリットは、関税の撤廃で海外の巨大市場に日本が参入しやすくなったり、
海外からの輸入農産物の値段は単純に安くなります。
TPP11のデメリットは、海外から安い食品が入ってくるため、国内産業が低迷したり、
食の安全が脅かされる可能性もあるということです。
農業はもちろん、いろんな産業界にとって影響が大きいTPP11。
関税が撤廃されれば、それだけ輸出入が活発になるので、日本のGDP(国内総生産)は約3.2兆円も増加すると予想があります。
何よりも生活に必要な食料品が安くなるのは嬉しいTPP11。
実際にこれからTPP11が機能していかないと、影響はわかりませんが、
日本の農業を守るか、消費者のメリットをとるか…判断はとても難しいですね。
《参考外部サイト》
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉 | 外務省