USMCA(NAFTA改名)とは?わかりやすく簡単に解説!再交渉の内容も!
USMCA(the United States–Mexico–Canada Agreement)は、
2020年7月1日に発効された、アメリカ、メキシコ、カナダ3か国間の新たな貿易協定。
当時のトランプ米大統領の強い意向で
1994年から続いていた従来のNAFTA(North American Free Trade Agreement、北米自由貿易協定)を
抜本的に見直したのがUSMCAです。
約2年間の再交渉の末、「NAFTA」が「USMCA」に改名された形になりましたが、
そもそも「NAFTA」って何だったのか?「USMCA」との違いは?
今さら聞けない「NAFTA」「USMCA」を、わかりやすく解説します!
NAFTA(ナフタ)をわかりやすく!正式名は「北米自由貿易協定」
“NO MORE NAFTA! ノー・モア・ナフタ!”
と頻繁にニュースになっていた2018年。
「ナフタ」という読み方(発音)で、日本でも長年浸透していたNAFTAの、日本語の正式名称は「北米自由貿易協定」。
- North
- America
- Free
- Trade
- Agreement
の頭文字をとったものでした。
▼ロゴマークはNAFTAがUSMCAになっても同じデザイン
A North American Free Trade Agreement (NAFTA) Logo by Nicoguaro
「北米自由貿易協定」の「北米」とは、
- アメリカ合衆国
- カナダ
- メキシコ
の三カ国のこと。
「北米(North America)」というと日本では「アメリカ・カナダ」の2カ国というイメージがありますが、
世界ではNAFTAの存在もあり、「北米」=「アメリカ・カナダ・メキシコ」の3カ国というイメージが今でも強いようです。
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「自由貿易協定」とは、英語でFree Tradeフリートレード。
つまり、
“貿易において「自由」の意味通り、障壁を取りのぞいて、お互いの国の発展のために仲良くやっていこうね!”
という決め事のことです。
NAFTA(ナフタ)はいつできていつ終了した?
NAFTA(ナフタ)は、アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国体制の自由貿易協定として、1994年1月1日から発効されました。
2018年9月30日、アメリカ、カナダ、メキシコが、NAFTAを米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に置き換えることに合意。
2020年7月1日、USMCAの発効により、NAFTAは完全に終了となりました。
NAFTA(ナフタ)の特徴2つ
特徴1)関税がほぼ無し!
NAFTAの一番の特徴は、何といっても
3カ国間の貿易における全品目の関税は、ほぼ(99%)撤廃されている
という点。
通常は、他国と貿易をするときは、モノやサービスに“関税”が掛けられますが、
現在NAFTAの3カ国間の取引には、ほぼ関税が掛かりません。
それだけ、3カ国間でモノやサービスの交換が自由にできるということです。
特徴2)GDPが世界ナンバー1
GDPという言葉もよく聞きますよね!
GDPとは日本語で“国内総生産”のことで、これくらいなら私も中学校で習った記憶がありました(笑)
▼NAFTAと他の経済圏と比較
国数 | 地域・国名 | 人口 (億人) |
GDP (兆USドル) |
一人当りGDP (USドル) |
3 | 北米自由貿易協定 (NAFTA) | 4.8 | 21.14 | 43,885 |
27 | 欧州連合 (EU) | 5.11 | 18.4 | 35,939 |
10 | 東南アジア諸国連合 (ASEAN) | 6.38 | 2.55 | 4,000 |
1 | 中華人民共和国 | 13.79 | 11.99 | 8,123 |
1 | 日本 | 1.27 | 4.9 | 38,443 |
1 | ブラジル | 1.9 | 2.02 | 10,609 |
1 | ロシア | 1.41 | 1.47 | 10,406 |
1 | インド | 11.91 | 1.43 | 1,200 |
1 | オーストラリア | 0.22 | 1.21 | 54,087 |
データ参考:wikipedia-北米自由貿易協定 -(値は2016年時点)
NAFTA加盟国のアメリカ、カナダ、メキシコ3カ国のGDPは、世界ダントツ№1・圧倒的です。
EUやASEAN、もちろん日本よりと比べても差は歴然…ビックリ!
つまりこの3カ国の経済活動は非常に活発で、世界からの注目度もナンバー1ということ。
NAFTA・北米自由貿易協定のメリット・デメリット
NAFTAって関税もかからないしGDPは世界一だし、NAFTAサイコー!!
と良い事ばかりに見えたNAFTA(ナフタ)。
でも、もちろんそんなことは無く、メリット・デメリット両方あります。
ほとんどの経済分析は、NAFTAが北米の経済と一般市民にとって有益であることを示している。
しかし、NAFTAの再交渉は、米国経済と生産コストに悪影響を与え、メキシコは、短期的にも長期的にも、雇用の喪失と経済成長の低下により、さらに深刻な影響を受けるとの見解もあり。ウィキペディア NAFTAとはより一部抜粋
NAFTA(ナフタ)のメリット
NAFTA(ナフタ)の最大のメリットは、先ほどお話ししたように、NAFTA3カ国間の取引には、ほぼ関税がかからないこと。
結果、3カ国の加盟国同士の貿易活動が活発になり、GDPを押し上げています。
NAFTA(ナフタ)日本企業にとってのメリット
2000年代に入って、メキシコに拠点を置く日系企業が格段に増えた理由の1つに“NAFTA”の存在が大きいと言われています。
なぜなら、比較的労働力の安いメキシコで製品を作って、巨大マーケット・アメリカに関税ゼロで輸出できるというメリットがあるから。
もちろん南米市場を見据えた設備投資でもありますが、NAFTA(ナフタ)が日系企業に与えている影響はとても大きいのですね。
NAFTA(ナフタ)のデメリット
“NAFTA(ナフタ)は3カ国の協定”といっても、やはり国力や権力の差はあります。
デメリットが特に顕著なのはメキシコと言われています。
資本や人件費の安いメキシコで大量生産した結果、
アメリカは大量の雇用が奪われ、同時にメキシコも自国の経済成長の機会をのがしているとの声も。
NAFTA、結局は“対アメリカ用”の3カ国協定?
下の図は、とても分かりやすくて興味深い資料なので、お借りしてきました。
2015年度においてアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国間で、輸出と輸入の売上ドル、つまりどれくらいお金がグルグル回ったかという表↓です。
出典:https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Images/header_images/strategy/cbs/jp-cbs-l-trump3-large-170117.png
ちょっと文字が小さくて見えにくいですが、この表をみると
カナダ⇒アメリカへの輸出3,010ドル
アメリカ⇒カナダへの輸出2,230ドル
↓
つまり、アメリカからみて対カナダは貿易赤字。
メキシコ⇒アメリカへの輸出2,980ドル
アメリカ⇒メキシコへの輸出1,870ドル
↓
つまり、アメリカからみて対メキシコも貿易赤字。
見れば一目瞭然ですが、アメリカは3カ国間で、輸出の倍近くの輸入を行っていて、結果アメリカは貿易赤字になっています。
この図を見る限り、メキシコ、カナダからの輸入品が増えることで、アメリカ国内で作った製品が売れず、
「今のNAFTAじゃ、何百万ものアメリカの雇用が奪われているから不公平!」
というトランプ大統領の主張は否定できないですね。
でも、例えば車産業。
アメリカからカナダに年約60億ドルも輸出されている中型車は、普通なら6%近い関税がかかるところ、
NAFTAのおかげで実質は無税となっいるため、これだけでもアメリカ国内の雇用拡大には相当恩恵があったはず。
色んな方面から見ると、メリット・デメリットともに山ほどありますが、この図の数字を見てわかることは
「NAFTAは実質、“対アメリカ用”の3カ国協定」
「カナダ対メキシコの取引量は実はとても少ない」
として機能しているということです。
カナダにおけるNAFTAの影響・一般論は?
カナダにおいてのNAFTAの認識はどうなっているんでしょうか。
(カナダにとって)NAFTAは、メキシコとアメリカと同様、カナダもGDPで比較すると経済的利益を享受した。カナダのは製造業の雇用は先進国における国際的な下降傾向にもかかわらず安定していた。
特に、NAFTAによって大きな利益を得たのはカナダ・オンタリオ州の製造業。NAFTAがもたらした最大の経済効果のひとつは、アメリカとカナダの間で農業製品の貿易が伸びたことで、貿易が加速したことである。
ウィキぺディア- NAFTA-
全体的にはいまのところ、カナダにおいて
“NAFTAは評価できる”
という風潮。やはり、GDPの結果の評価が、全体的には大きいようです。
NAFTAはトランプ政権誕生で大きく変化
2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ氏。
その時の大きな公約の目玉は
- TPP(環太平洋パートナーシップ)離脱
- NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉
の2点でした。
トランプ大統領は、就任直後には公約通り「TPP離脱」を実行、2017年年8月には「NAFTA再交渉」に着手。
トランプ大統領の
「NAFTAの再交渉を要求する。応じなければNAFTAを離脱しちゃうゾ!」
という発言から始まったNAFTA再交渉。
《TPPのトランプ離脱劇についての記事はこちらをクリック↓》
「NAFTA再交渉」の「再交渉」とはつまり、
「現行の協定内容を見直して、アメリカにとって有利になるために内容を変更する交渉に応じなさい」
ということですね。
もしアメリカが
「本当にNAFTAなんか離脱してやるぅ!」
となった場合、世界中を巻き込む大混乱になることは間違いなく、
メキシコやカナダはもちろん、現地の日系企業や、日本の私たちの生活にもその影響は計り知れません。
NAFTAがUSMCAに名称変更!読み方はユーエスエムシーエー
「ナ・フ・タ」という日本語で知られたNAFTAでしたが…
2018年9月30日、カナダと米国が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で妥結し、メキシコを含む3カ国協定が維持された。新たな協定は名称が「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に置き換えることで合意した
とついに正式に発表されました。
↓↓
NEW NAFTA HAS NEW NAME!
the United States–Mexico–Canada Agreement or USMCA!
ニュース動画開始直後に、こう伝えられているように、NAFTA(ナフタ)改め、
の読み方(発音)は、
「ユナイテッドステイツ メキシコ カナダ アグリーメント」
または、
「ゆー・えす・えむ・しー・えー」
とそのまま、長~い名前に!
NAFTAとの違い!USMCAは「自由」が撤廃され、ただの「協定」に…
名前を比較してよく見ると、
北米自由貿易協定(NAFTA: North American Free Trade Agreement)
↓
米・メキシコ・カナダ協定(USMCA:United States–Mexico–Canada Agreement)
で、どうやらUSMCAは、
“貿易において「自由」の意味通り、障壁を取りのぞいて、お互いの国の発展のために仲良くやっていこうね!”
という意味合いだった「自由な貿易・Free Trade 」とは言えなくなってしまった模様!( ゚Д゚)
ちなみに「USMCA」は「NAFTA」のバージョンアップという意味で「NAFTA2.0」とも言われるそうですが…
良いバージョンアップであることを願いたいものです。
USMCA・再交渉で新協定の内容は?
「NAFTA」改め「USMCA」の、くわしい原文はこちら♪↓
United States–Mexico–Canada Agreement
…うぅ~むりむりー!
文章ながいし膨大すぎな情報量!そもそも英語がワカラナイ(笑)!!
こんなものを読むのは専門家にお任せ。
で、とりあえず我々は簡単に分かりやすく要約してくれた一般報道の内容を紹介しますので「USMCA」の具体的な規定内容にご興味のある方は、こちらでお許しくださいませ↓(笑)
米とカナダが貿易交渉で合意、メキシコに合流-NAFTA見直し-bloomberg-
みてみると
- 小売業
- 医薬品
- 小麦の格付け
- 乳製品
- 鶏肉・卵
- 著作権
- 紛争処理
- 自動車
- エネルギー
などなど、あらゆる分野にわたって
- 免税限度額
- 保護や所有権の範囲
- 無関税輸出枠
など細かく決められていますね。こりゃ大変だわ!
USMCAのカギとなる論点はさまざまあれど、一番大きな変更点として注目されたのは
- 「アメリカのカナダ乳業市場へのアクセスを拡大」
- 「カナダの対米自動車輸出に上限が設けられた」
の2点。
う~ん。。
アメリカがどんどんカナダに圧力をかけてるのは明らかですね…。
日本にも影響あり?対中国についてのUSMCA
新しくなった「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に盛り込まれた条項の中に、
日本にとっても非常に気になる点が一つあります。
3カ国のいずれかが中国などの非市場経済国と自由貿易協定を結んだ場合、残りの2カ国は6カ月後に協定を離脱し、2国間の協定を結ぶことができるとしている。また、非市場経済国と自由貿易協定交渉に入る場合、3カ月前に他の2カ国に通知することを義務付けている。
つまりは、
トランプ米大統領が中国を経済的に孤立させる目的で、
「メキシコさん、カナダさん、中国と仲良くしちゃダメよ~!もし裏切ったらどうなるか分かってるよねぇ。。」
と暗示してること。
専門家やメディアの間では早速、
“カナダやメキシコが、中国と貿易する拒否権を事実上トランプ大統領が握っている“
と指摘の声が上がっています。
また、カナダ国内でも、このUSMCAの条項については
「カナダの独立を著しく制限している!」
として野党から強い批判が出てる模様。
スタートから穏やかではないNAFTA(ナフタ)あらためUSMCA。
これからどのようにGDPや、私たちの生活全体に影響が出てくるのは…まだまだ未知数デス( ;∀;)
USMCAは2020年7月1日から発効済
2018年9月30日、米国とカナダは新しい貿易協定に《合意》。
その貿易協定とは、NAFTAに代わるもので、
『USMCA』(United StatesーMexicoーCanada Agreement)
(米国・メキシコ・カナダ協定)
と呼ばれ、2018年11月30日・G20サミットにおいて3者(アメリカ・カナダ・メキシコ)が予定通り署名しました。
《合意》から、正式な《発効》まで、時間がかかりましたが、
TTPのときの「トランプ大統領の大どんでん返しの悲劇」のように、
合意&署名までしておいて、USMCA離脱なんてことのないように祈りたいものです…。
《TPPのトランプ離脱劇についての記事はこちらをクリック↓》
USMCA(NAFTA改名)とは?わかりやすく簡単に解説!再交渉の内容まとめ
NAFTA(ナフタ)改め「USMCA」はUnited States–Mexico–Canada Agreementの頭文字、日本語で『米・メキシコ・カナダ協定』。
「USMCA」の英語の読み方(発音)は、「ユナイテッドステイツ メキシコ カナダ アグリーメント」
または頭文字で「ゆー・えす・えむ・しー・えー」となりました。
NAFTAとの大きな違いは
- 「アメリカのカナダ乳業市場へのアクセスを拡大」
- 「カナダの対米自動車輸出に上限が設けられた」
という2点。
2017年、アメリカ・トランプ大統領が
「NAFTAの内容を見直す再交渉始めるヨ!(もちろん、アメリカにもっと有益な内容にするために♪)」
の言葉で、NAFTAの再交渉がスタート。
1994年1月1日から発行されたNAFTAが、2018年9月30日、正式にUSMCAとして、協定内容も一新されました。
“NAFTA再交渉によりUSMCAになったことで、世界経済および日本への影響は○▼※△、つまりは○▼※△☆▲※◎★●・・!”
なんて、経済学者みたいな賢いコメントは私は出来ませんが( ;∀;)
私なりに分かったことは、
アメリカの大統領って、やっぱ大きな権力握ってるなぁ!そりゃアメリカはカナダの親分みたいって言われるのは理解できる!
ということを再確認しました(笑)。
カナダとアメリカの関係については
首相・大統領・国家主席の権限の違いって何?誰が一番エラいの?
も是非参考にしてくださいね♪