カナダの公用語は英語とフランス語なのはなぜ?割合や歴史・法律も調べてみた
カナダは17~18世紀ごろまでイギリス領だったという歴史もあり、
「カナダの公用語=英語だけ」というイメージがありますが、
じつは英語とフランス語の二言語が公用語として使われている国です。
かといって、両言語を話せるバイリンガルの人が多いということではなく、
州や地域によって「英仏の話者の分布や割合」にはずいぶん差があります。
実際私のいるバンクーバーのブリティッシュコロンビア州(BC州)は、英語が話せれば何ら生活に支障はなく、
日常において「フランス語しか使えない場面」というのはありません。
でも、どうしてカナダの公用語は2つもあるのかな?ということはずっと気になっていました。
※もちろん私はフランス語はさっぱりわかりませんww 英語もまだまだ不自由ですけど(笑)
そこで今回は
- カナダの公用語が英語とフランス語の二言語になった歴史や背景
- 実際の英仏の話者の割合
など中心に詳しくお伝えします。
カナダの公用語が英語とフランス語だと感じる時
「カナダの公用語は英語とフランス語の二言語」という事は、
どちらかの言語に偏らないように、国で法整備が整っているということです。
1969年に「公用語法」という法律によって正式に制定されました。
なので、私にとって「日常生活では全く必要ないフランス語」であっても、
「カナダの公用語はやっぱり2言語なんだな~」と感じる時は沢山あります。
あらゆる行政機関のサービスで
カナダに住んでいる人は、政府からの届く手紙や書類などは、英語かフランス語かの言語を選択できるようになっています。
また、交通機関の案内などもすべて英仏両語で併記がされています。
商品のラベル
カナダで流通している食品・雑貨・家電などあらゆる商品の、説明表示やラベルは、
英語とフランス語の両方を印刷しなければならないと法律で決まっています。
もちろんスーパーで買うものほとんどすべてが英仏両語で併記。
▼お菓子の袋のうら面
▼東京にも一号店が進出しているカナダのファーストフード・ビーバーテイルズの看板
上が英語・下がフランス語の両表記。
引用:https://www.facebook.com/BeaverTails
最初はなんかごちゃごちゃ書いてるな~くらいにしか思ってなかったのですが(笑)
これにも「二言語公用語制度を守る」というカナダの姿勢が現れていますね。
カナダの政府(連邦政府)とのやりとり
カナダは10の州と3つの準州で構成された連邦国家。
政府は、英語とフランス語の2か国語を公用語としている以上、両言語での対応ができる体制を整えています。
連邦政府に勤める職員・役員はすべて英仏2か国語のバイリンガルであることが必須となります。
▼もちろんカナダのイケメントルドー首相も英語とフランス語のバイリンガル♪
@JustinTrudeau I thought we were friends? 😳 Chewbacca socks? 😢 pic.twitter.com/CK6U9hGWkv
— William Shatner (@WilliamShatner) September 20, 2017
トルドー首相の父方の祖父は フランス系カナダ人の実業家、
元ニュースキャスターの妻ソフィーさんも フランス系カナダ人なので、
小さい時から両方の言語の環境で育たれたんでしょうね。
ちなみにトルドー首相、このイケメンな横顔の下にはとんでもない仰天な靴下柄で世間を驚かせたことがあります( ;∀;)
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⇒カナダのトルドー首相・あひるちゃん柄の靴下の意味を検証してみた!
カナダの国家[O Canada]を聞くとき
スポーツイベントなどに参加すると各国の国歌を聞く機会があります。
このとき、カナダの場合は、国家である「O Canada /オー・カナダ」を、
英語バージョンとフランス語バージョン交互で歌うことがあります。
これも、日本ではない話でちょっと面白いエピソードですよね。
カナダ国歌の「O Canada 」はメロディーも美しくとても印象的な歌詞ですので、一度聞くととても心に残ります。
Wikipediaのページに英語とフランスの音声や歌詞がありますので、ぜひ両バージョンとも聞いてみてくださいね。
このように日常生活でフランス語を見たり聞いたりして触れる機会は常にあるカナダですが、
私の場合は英語の案内の方だけを見ればよいので、普段はフランス語も国の公用語ということは忘れてしまいます(‘ω’)ノ
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カナダの公用語が二言語になったのはなぜ?歴史的な背景は
カナダの公用語が英語とフランス語になった背景には、カナダ建国の歴史に理由があります。
カナダは1867年7月1日に、正式に「カナダの国」となるまで、
- 16世紀はフランスの植民時代
- 17世紀はイギリスの植民時代
という歴史的な背景がありました。
ちなみに、カナダの国名の由来「kanata・カナタ」もフランス人が付けたことから始まっているんですよ~♪
1535年・最初のフランス人開拓者が入植
カナダには、もちろんイヌイットなど先住民族と言われる人たちはいましたが
フランス人探検家ジャック・カルティエらが最初に「カナダ」を訪れたのは、1535年。
フランス人が今のケベック州を中心に、アメリカのルイジアナ州まで植民地としてフランス領を形成していました。
そのためケベック州では、カナダ建国のはるか前よりフランス語が使われていた歴史があります。
17世紀・イギリス植民地時代へ
当時世界では植民地をめぐり、イギリスとフランスの対立が続きました。
カナダの地も、1763年には完全にフランス領がイギリスに譲渡されることになりますが、
ケベック州ではイギリス統治後もフランス語が残り現在に至っています。
つまり、カナダにはもともと英語を使う民族だけが住んでいたわけではなく、
フランス語系移民と英語系移民の双方に配慮した結果、二つの公用語が使われるようになったということです。
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カナダの公用語の割合・フランス語圏の地域はどこ?
では、実際の英語とフランス語の割合や現地の人への浸透率などをみていきましょう。
ケベック州は8割の人の母国語が「フランス語」
カナダでフランス語が最も広く使用されているのは、やはりケベック州。
ケベックシティーは人口約50万人・モントリオールは人口約170万人で、カナダでは2番目に大きな都市となっています。
Blank map showing Québec in Canada.2011.Sémhur
(データ参考:ウィキペディア)
グラフデータのように、ケベック州にすむ約8割がフランス語が母国語の人たちです。
ちなみに、国として定めた公用語は英語とフランス語ですが、州によって優先する公用語は異なります。
ケベック州ではもともとフランスからの移民者を先祖にもつ人が多い州なだけあり、フランス語が第一公用語として話されています。
▼現在のケベック州の州旗も、フランス王室の紋章がモチーフです♪
もちろんケベック州であっても、英語を話す人はたくさんいますし、
あらゆる標識が英語とフランス語の両方表記というのは法律で決められているので、
フランス語が分からなくてもケベック州で生活に困るということはありません。
▼英語と仏語使用地域(白色は人口希薄地域)
Map of Canada showing the language spoken in different regions of the country.2008.Zorion
その次にフランス語が多く話されている地域は、お隣のカナダの首都オンタリオ州・オタワも、英語とフランス語の利用率が高いエリアです。
他にはニューブランズウィック州のアカディア人の多い地域、マニトバ州の南部でもフランス語が話されています。
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ケベック州以外は基本的に英語
カナダでケベック州以外の州では、基本的に英語が話されています。
(ただし、エスキモー・イヌイットの人たちが多いヌナブト準州の第一公用語はイヌクティトゥット語など例外はあります)
もちろんトロントやバンクーバーなどの大都市では、ほとんどフランス語は使われていません。
カナダ全体での公用語の割合
公用語が英語とフランス語といっても、カナダは超多民族国家。
2006年国勢調査では、実に200語以上の言語が国勢調査で母語として回答されています。
カナダ全体の割合としては、
国民の58%が英語、22%がフランス語を第一言語(母国語)としており、
約98%が英語かフランス語のどちらかを話すことができます。
英語とフランス語のバイリンガルはたった17.4%
興味深いのは、カナダでは二カ国語主義の国家ではあるものの、
英語とフランス語の両方で会話が出来るのは総人口のうちたった17.4%ということです。
公用語以外の言語ははやり中国語が圧倒的に多い
「バンクーバーは中国人だらけ?!人口割合は」でも紹介しましたが、
カナダでは中国語を母語とする人口は全体の3.3%・103万人いるといわれ、
英語・フランス語に続く第三位の母国語として使われています。
中国語以外では、
- イタリア語
- ドイツ語
- パンジャブ語(インド・パキスタン方面の言語)
- スペイン語
- アラビア語
など多種多様にわたります。
カナダでフランス語留学はできる?
カナダでは、英語とフランス語が公用語ということもあり、フランス語の語学留学もできます。
フランス語が一番勉強ができるのは、フランス語が一番浸透している
- ケベック州全域
- オンタリオ州のオタワ
にある語学学校や大学でフランス語が学べるカリキュラムが多いようです。
そこには、フランス語を学びにくる地元のカナダ人もいるので、
カナダ人と一緒にフランス語を学べるというチャンスもあるかもしれませんね。
逆に、トロントやバンクーバーは英語が主流のため、フランス語留学が本格的にできる学校はほとんどありませんが、
個人経営など小規模な語学教室でフランス語を学ぶチャンスはあると思います。
カナダの公用語法は1969年に制定
カナダの公用語が英語とフランス語ということは「公用語法」という法律で正式に定められています。
「カナダ公用語法・Official Languages Act」
ケベック州の独立を回避する意味もあり、1969年に制定された公用語法。
「カナダ国民は行政サービスを英語またはフランス語にて受ける権利があり、すべての州・準州にて教育を受ける権利が保障される」
として、英語とフランス語をカナダの公用語と宣言し、カナダ社会における両言語の対等性を明記した法律のこと
カナダの公用語は英語とフランス語なのはなぜ?歴史や法律も!まとめ
カナダは公用語として英語とフランスの両方が使われる国ですが、
実際の国税調査では、200種類以上の言語が母国語として回答されています。
全国民の58%が英語、22%がフランス語を母国語としていますが、
それ以外の言語の人たちも合わせて98%のカナダ人は、英語かフランス語のどちかを話せます。
ただ、英語とフランス語の二か国語同時に話せるバイリンガルの人は、全体の17%ほどしかいません。
カナダ国内で購入するものは、ほぼ両方の言語で商品説明ラベルがあるので、
2か国語が公用語として使われていることを実感することができます。
フランス語を8割もの人が話すというケベック州には、私はまだ行ったことがないのですが、
行ってみると同じカナダなのに、まるでフランスに来たかのような錯覚になるのでしょうか。
同じ国なのに方言じゃなく、全く違う言語が二つ存在するというのはまた面白いところですね~!(*’ω’*)